2022/10/28 21:47
半年程前から娘と一緒に通っている図書館
借りてきた本の簡単な感想等を書いているブログ
4回目の今回はこちら↓↓↓
仕事がら物造りの本を選ぶ事が多く、土地がらなのか浅草の伝統的な話をよく読みます
タイトルや作者の名前で、ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんね
今回は浅草が世界に誇る芸術品
パイプのお話しです
パイプと言うと本書の内容よりガス管等のパイプをイメージされる方も多いかと思いますが、煙草のパイプのお話しです
海外の探偵さんが口に咥えているイメージでしょうか
私自身タバコを吸う習慣がなく生きてきたのであまり詳しくはありませんが、20年ほど前の専門学生だった時にパイプに出会いました
当時よく読んでいた雑誌pen
たまたまその回がパイプ特集でした
表紙に掲載されている今まで見たこともない美しい芸術品に、一瞬で心を奪われてしまいました
授業の課題でもないのに、スケッチブックに夢中に模写したことを覚えています
学校から近かったこともあり、雑誌に載っていた新宿のパイプ屋さんに実物も見に行きました
そこには完成品はもちろん、メンテナンス用の道具や自作用に使える吸い口や本体となる美しい木目の木も販売していました
ブライヤーと呼ばれる美しい木目の素材
これを使って作品を作ろう(当時は宝飾品の専門学生でした)!
学生の自分にはかなりの高額でしたが、ブライヤーのブロックを購入
さっそく糸ノコで切り出そうと作業を開始
しかし、
硬い
凄く硬い
慣れていた金属とは違う種類の硬さに四苦八苦しながら指輪を数点作成
紙ヤスリで表面を整え、さらに磨きをかけていく
とても楽しい作業でした
完成した試作品は今でも私の手元にあります
かなり大きく脱線してしまいましたが
パイプのお話しです
作者の柘 恭三郎は創業80年、浅草のパイプメーカーの柘製作所・代表取締役 (※柘=つげ)
そんな恭三郎さんや、ご家族、ご友人、下町仲間の方々のモノ語りです
個人的には本書前半の、柘製作所の創始者、恭一郎さんからの教えがとても印象的でした
今までの読書感想文も子育てや育児にフォーカスしていることが多く、今の私の頭の中には子育て脳が強いのかもしれません
特に印象的なのはお父様が小、中学生頃の来た少年に伝えた思い
「将来、お前が仕事をするようになるころは、外国との取引が多くなる。そのためにも、英語は道具として必要だ」
まだ戦後間もない頃に英語の必要性を解き、英語を商売の「道具」としてとらえていたお父様
凄い
しかし、その英語を使い話しているときに「英語力は"道具"にすぎず、その前に自分の意見をしっかり持たなければならない」と悟る恭三郎氏
確かに
そして作中に時々出てくるワード
職方商人(しょっかたあきんど)と言う言葉
恭一郎氏は恭三郎さんや他の職人さん方にもよく仰っていたそうです
ただの「職方」であるだけでは、いいモノ作りをしたり、いい稼ぎを得ることはできない。
商人のような、利にさといやり方を身に付けなさいということだそうです
職人が作るモノ作りにさらなる「価値」、つまり「付加価値」をつけなければ、仕事に発展性がない
モノ作りをしている私にはもの凄く響く言葉でした
もちろん私しもですが、実際にモノは作れるけどなかなか発展していかないことはよく聞く話しです
ただの職方で終わるか、付加価値を手に入れ職方商人になれるか
今後も大きな課題になりそうです
今回の本はこんな方におすすめ
・物作りが好きな方
・下町の文化、伝統に興味のある方
・浅草周辺にお出かけ予定のある方(ご飯所も紹介されてます)
・煙草好きの方
・もちろんパイプ好きの方も
大人になってから、まさか自分がこんなに本を読むことになるとは
そして、こんなに学び試したいと思うとは
ついに40歳を迎えて、今人生で一番本を読んでおります
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